2013年12月15日日曜日

池上彰の政治の学校、という本を読んだ。



さすがに教えるのがうまい、読みやすい、理解しやすい。

ここには、公明党と創価学会の関係を説明して

話題となった話もある。




どこかで、かつては年末年始のニュース解説か何かでも

新年を迎えたことよりも解説を継続したことによって

顰蹙を買っていたような話もみたことがあるが、

こういう揺ぎ無いスタンスがとても好きである。

なぜ日本の政治がうまくいかないかについては、

政治家が票集めに走る一方、

国民は幸せの青い鳥を求めているという、

言い得て妙な指摘をしている。

確かに、今度こそやってくれるだろうという期待が

いつも裏切られ続けていることも実感できる。

そしてインフレが進むと購買力が5%程度は下がることの指摘、

憲法9条改正に対する狡いカラクリ、

領土問題や選挙制度の仕組みの解説もあり、

うまくまとめられているので

興味深く引き込まれ、どんどん読み進めていくことができる。

また、民主主義の在り方を

アメリカ大統領選を引き合いに解説、

ころころ変わる日本の首相は十分な準備がないまま

総理大臣になるからお粗末なことが起きるという鋭い突っ込みもある。

あと特に面白かったのが官僚の解説のところである。

政治家を表に裏に支える存在としてとっても

プライドの高いヤツラなのだそうだ。

彼らの機嫌を損ねると国が動かなくなるほどの事態に発展するらしい。

ホントにそうなのか?

また、官僚の天下りが「組織を常に若返らせる」ための

実によくできたシステムなんだそうだ。

優秀でない官僚を定年まで省庁が面倒をみると

税金の無駄遣いになるそうだ。

就職先の斡旋など必要なかろうにと思うのだが、

そうすると国家公務員になりたい人が減って

優秀な人がいなくなってしまうので、

それはそれで問題だからと述べている。

そして最後にはポピュリズム政治からの脱却と

民主主主義を育てるためにどうするかと言う点にも触れ、

読者に問題意識を持つことの重要性を問う、

全般にわたってよくできている本だ。

今更の話になってしまったが、2013年夏の参院選前には

出会っておきたかった本である。

知識は次回の選挙にはぜひとも活用しようと思う一冊である。