つまるところアベノミクスがうまく機能していないということを
主張したいようであるが、若干難しい内容となっている。
しかも、文章の説明とグラフをリンクさせるのが
分かりにくくて難易度を高めているように感じた。
インフレ目標を達成できるか?に対しては
マネタリーベース、マネーストックが増えないので、
物価目標も達成できないという見方であった。
また、賃金は上がらないし、実体経済も改善しないという
この部分についても厳しい分析である。
ここで面白いのが、自動車業界のボーナス増額に対する詳細だ。
これは恒久的なものではなく一次的なものだというのだ。
報道では
「新興国などの販売拡大や円安進行によって業績が改善している」
といわれていたが、
実際は前年の落ち込みの反動や
エコカー補助金が起因しているのだそうだ。
実際エコカー補助金が終了した際は売り上げが落ち込んだらしい。
だから、税金が今回のボーナス増額の原資となったようである。
また、並々ならぬ企業努力の成果も反映したことも一因にあるらしい。
そのほかに自分自身に身近な電気料金の値上げについてだとか、
円安は企業利益をどう変化させるとか
国際暴落と金利高騰の危険の話とか
どうして行くべきかも述べられている。
日本経済建て直しの第一歩は教育である。
いい指摘である。
将来の日本を支える人材一人ひとりが正しい知識を
身につけ行動していかないと
いつまで経っても失われた時代が継続していくことになってしまう。
不安定な金融市場をウォッチしながらも
アベノミクスを理解するうえで、読んではおきたい一冊である。