2014年1月30日木曜日

ポスト成長神話の日本経済 「アベノミクス」を問う、という本を読んだ。




コレを読むと既に東日本大震災を

もうかなり昔の出来事のように思っている

ことに気づかされる。



福島第一原発の周辺で暮らす子どもたちの実状や

原発事故をめぐる責任や賠償問題のおざなりな対応が

なされている現実を改めて知ることで怒り心頭である。

次に出てくるのが消費税の問題だ。

もはや増税は避けることのできない状況にはなっているものの、

実際問題中小企業は商品やサービスの価格に

消費税を転嫁することができず自腹を切っているのだという。

弱者をよりいっそう痛めつける不公平かつ

不公正の塊である消費税の本質を知る必要がある。

本書からはそういった点も学ぶことができる。

ちなみに著者に言わせると、消費税という名前は

全くもって相応しくないのだとか。

正しくはヨーロッパのように付加価値税と呼ぶべきらしい。

あと個人的にかなり衝撃を受けた内容があるのでここで紹介したい。

アルゼンチンの惨状についてである。

強盗にあっても見て見ぬふり、未成年では殺人を犯しても

捕まったその日のうちに釈放なんてのもよくある話らしい。

また小売店の店主を殺害した未成年の犯人を葬儀に参列させると、

大麻タバコの吸殻を棺に投げ捨て大笑いという事件もあったようだ。

何という治安の悪い恐ろしい国が存在するのだろうか。

そしてまたしてもとてもいやな気持ちになるのが、

広がる格差社会についてである。

世の中は競争にもなっていない。

構造改革でもともと不利な立場にいる人はますます不利になり、

有利な人はもっと有利に。

そもそもスタートラインが違いすぎるのだ。

だから「ヨーイドン」で一瞬のうちに勝ち組み、負け組みが決まる。

そして負けた人間はおまえの自己責任だという扱いを受ける。

世の中の富は一部の人間だけに集まっていく。

このままではみんなが幸せになれる日本経済など

存在し得ないのではないだろうかと、

どうにか変えていかなければならない気持ちが湧き上がってくる。

そんなふうに当初は大して面白くもないかなと思いつつも、

読み進めていくうちに徐々に引き込まれ

この日本経済を問い質したくなる一冊である。

だがしかし、直悦請求ってなんだ? 実は誤植?

2014年1月27日月曜日

『ONE PIECE』と『相棒』でわかる! 細野真宏の世界一わかりやすい投資講座、という本を読んだ。




でました、細野センセイのわかりやすい本!

高校生のときに数学の面白いほどわかる本を

何冊か買って勉強したものである。



あの各ページが藁半紙みたいな本...

本屋に行っても参考書のところはちっとも立ち寄らないから

わからないのだが、今もあるのだろうか?

それはさておき、流石にタイトルの通りかなり分かりやすい文章になっている。

小学生にも分かるレベルで、というのはこういう文章なのではないだろうか。

しかし新書サイズで、横書きだし、行間もタップリとあるし、

図やイラストもあって、普通の新書と比べて一体どれだけ文字数が

少ないのだろうかとあまりの文字の少なさに物足りなさがあるのは否めない。

センセイ曰く構想から6年もかかったらしいのだが、

そんなに多忙で執筆の時間も取れなかったのか?と心配になってしまう。

あるいは、ひょっとしたら書くことに困ったのか、などとも。

何しろコーヒーブレイクの全く同じ書き出しの段落が続くので、

これはデジャブか!?出版ミスか?などと思ってしまう。

おもしろいのが、ONE PIECEやそのほかの映画に絡めながら、

シネマ業界の収益の仕組みなどがやたらと詳しく説明されていることだ。

あれっ?確かこの人数学の予備校講師だったはずだが、

いつの間にか映画の関係者になったのかしら?という感じに

やたらと(?_?)はてなが、盛りだくさんなのはまちがいない。

もっとも、映画は何故にこの値段って思うぐらいまだまだ高いし、

業界裏話的な話はおもしろいから読んでいて

退屈になるようなことはないのだけれど。

そんな本書での良いところは投資に関しては

非常に分かりやすい解説がされているところだろう。

投資をやっているにもかかわらず良くわかっていなかったし、

意識すらしていなかったPBRの見方が

とても分かりやすく説明されていたので今回初めて理解できたように思う。

また、投資タイミングを見極めるための情報を

どうやって手に入れるかや最終利益のチェックの重要性も述べられており、

現状フィーリングで選んで大幅マイナスになっている保有銘柄と

今後の投資のやり方を見直す非常にいい機会であると思った。

初版のみ限定でプレミアムコンテンツのアクセスパスワードがあるらしい。

これは図書館で借りた本の場合、既にアクセス済で

無効になってたりするのだろうか?

気になるところではあるが試してはいない。

また最後の特別ふろくも、投資経験者には勝手知ったる情報にしかならないが、

本当に初めての人には実に有益だと思える。

そして、最後にはまさかの続編の「実践・資産防衛編」の存在を匂わせ、

今回ほとんど出てこなかった相棒もテーマになっているとのことである。

しかし次に出てくるのはオリンピックよりも長い6年後なのでは?などと

穿った見方をしてしまう一冊である。

2014年1月22日水曜日

経済学者に聞いたら、ニュースの本当のところが見えてきた 「みんなの意見」にだまされないための11講、という本を読んだ。





似たような本はそれこそ、ゴマンとあるように思う。

しかし、同じことでもいろいろな意見があって、

十人十色と言う言葉からも分かるように、


人間みな同じということはないのである。

様々な本から学ぶことで、また違った見方もできるようになるはずだ。

要は多様性を身につけるということも心がけたい。

そんな思いを意識したのか、はたまた借りてるやからタダやし、

通勤時間の暇つぶしもかねて経済のことを学んでおけば、

今後自分の生き延びるためのスキルとして活用できるという考えが

あったのかもしれない。

本書の最もよいところは出てきた大事なキーワードがすぐ下に記載してあり

理解しながら読み進めることができる点である。

やはり経済を学び本質を理解するということは

誰もが身につけるべき必須スキルだと感じる。

本書では高い経済成長の時代はもう終わっており、

税財政の見直しが急務だと述べられている。

確かに日ごろ取られているだけにしか思えない税金、

用途を明らかに、貴重な財源だからと継続されている暫定税率とか

いい加減にやめてくれとか思うところもある。

ただ、ついにあがってしまう消費税も

実行されれば間違いなく景気回復の腰折れになると思う。

しかし、先延ばしにしても今のままでは、それだけ赤字が膨らむという状況である。

痛みを伴う改革に向けて、当面はその不安だけしかない...

次に、少し前に騒がれていたTPPは、最近聞かないのは気のせいか?

生産がシフトしていくべきという貿易の話も読んでおきたいところだ。

あとぜひとも理解しておきたいところが、第3講の社会保障の話だろう。

まったくもって疑わしい話ではあるのだが、

本書では全くもらえないほどダメではないと言われている

年金と医療について述べられている。

診療費を市場任せにすると法外な値段になるから

国が決めないといけないのだとか。

そのほかにも諦めたくない経済成長の話とか、

世の中にお金を巡らせなければならない金融の話とか、

人は何故紙切れ(紙幣)を欲しがるのかとか、

市場メカニズムの話とか

どこから読んでもかまわない11講をしっかりと読めば、

確かにみんなの意見にはだまされないようになる

キッカケをつかむことができることは間違いない一冊である。

2014年1月19日日曜日

「育メン」現象の社会学 育児・子育て参加への希望をかなえるために、という本を読んだ。




ハーフ!?何しろ著者の名前がかわっている、

ミドルネームがあるんだもの...

それは...



そんな話はさておき、育メンという言葉がまだまだ珍しい認識がある今日この頃、

どんな内容か気になって借りてみた本だ。

しかし、はっきり言って本の大部分は退屈で読むのを諦めてしまいそうなほどであった。

育メンの歴史・社会・文化、育メンの社会学、育メンと家族の大きくは3部で構成されており、

仔細な分析とデータもあるので時代の変化とともに、

父親は外で仕事をして母親が家庭を守るというかつての慣習から、

その逆の父親が家庭、母親が仕事(悪い言い方をするとヒモ)というスタイルも

認知されつつあるのだということが分かる。

しかし主夫、本書では「専業主父」というキーワードで定義しているのだけれど、

それで家計がやりくりできている家庭なんてごくごく一部ではないだろうか。

まだまだ社会は男尊女卑な部分があると思うし、

よほど専門的な仕事でもない限り一家の大黒柱として収入を得ている女性は

おそらくわずかだと推測している。

著名人でもない一般人で、逆にそんなに稼いでる女性は素晴らしい。

どんどん会って話してみたいものである。

個人的にはバリバリのキャリアウーマンにはメチャクチャ憧れている。

話を戻して、

本書の内容で最も興味深いところが、育メンがもたらすものと育メンの多様性という章だ。

ここは面白かった。

父親の育児ストレスと育児不安のところでは、

母親と同じように悩んだりはたまた泣いたりしているという現実があることに気づかされる。

こちらの側面は考えたこともなかったので斬新さを覚える。

公園デビューで大失敗の話とか、その通り、分かる、激しく同意などと思う。

そのほかに新しいなと感じた部分では、専業主父の話もそうだし、

世界では割とある未婚の父という状況の話、

とても不思議なペーパー離婚(一体何が良いんだろう?メリットが謎過ぎる)とか。

とにかく少しは認知されつつある育メンを真面目に考えるには

参考になる部分が多少なりとも見出せる一冊である。

ただし、ハードカバーのくせにしおりとなるヒモがついてないのは如何なものか?
 

2014年1月14日火曜日

[新版]アフターショック 変化の時代の「痛み」を解決する知恵、という本を読んだ。




もう何年も昔に働いていたある飲食店の

キャッチコピー「変わることは良いことだ。」

まだ若かりしそのときは

変わるってメンドクサイなぁなどと思っていた。


しかも結構頻繁に新しいメニューやキャンペーンの通知に振り回され、

薄給でかなり精神的にもヤラれてつらい日々を過ごしていた。

しかし、痛みを伴う改革この場合は転職のことだが、それはしてよかったと思う。

おそらく、あのままやっていたら人生がどうなったものか、考えたくもない。

人には向き、不向きがあり、あれは明らかに後者の方だった。

本書でもあるように変化において最もつらいと思うのが、

統合や組織替えや業務転換で何故だかそりが合わず

なじめないというところではないだろうか。

ITはドッグイヤーと言われるほど急激な進歩を遂げ、

スキルはすぐに時代遅れになってくるように感じている。

その散々苦労して身につけたスキルそのものが

時代遅れの陳腐なものにするという現実に悩んでいる

ということに共感できる方はぜひとも読んでもらいたい。

変化にどう立ち向かうのか、

大事なのは個人レベルでの努力だけでなく、

チーム(組織)としてもより強靭なものに生まれ変わるべく

取り組む必要があるとわかる。

ただ、突然出てきた謎の略語CSEサポートシステム。

これは明確にする(Clarify)、共有する(Share)、参画する(Engage)の略であった。

確かにどれも大切な概念だろう。

読めば書いてあることなのでここでは詳しくは触れないが、

変化への解決のプロセスとしては

参考にしてもよいのではないだろうか、と感じた。

実績は最後にほんの少ししか書いてないし、

研修に積極採用されているかは疑問だが、

期せずしてここ最近読んでいる、

著者が外国人ではあるが訳者の翻訳もそれほど悪くない、

ショック如何にかかわらず、

変化を自分の成長曲線のヒントにつなげる可能性を見出すための一冊である。

2014年1月8日水曜日

TEDトーク 世界最高のプレゼン術、という本を読んだ。



決して思い切り目指しているわけではなく、

それでもやはり、

多少はソーシャル有名人にならないと

ネットビジネスでは成功できない、


アフィリエイトで稼げたりはしないということのようなので、

かつてフェイスブックで集客のための

自己ブランディングが大切であるという情報を得てからは、

それとなく気をつけてはいたりもするかも知れない。

そして、最近は自己表現のためのスキルを身につけるための

一環としてプレゼンに関する本やセミナーで学んだりもしている。

そうなってくるとおのずと本書は図書館で借りる候補として

リストアップされるのである。

で、肝心の内容というと、

まずは何よりもきになるのがTEDって何?ということではないだろうか。

確かにこういう謎の略語とかは気になって仕方がない性分である。

実はテクノロジー、エンタテインメント、デザインの

頭文字をとったものらしいのだ。

そしてこれらの分野からすばらしいアイデアを紹介し、

広めていくことを目的とした非営利組織が存在するというのだ。

この団体のもっとも有名な活動がプレゼン動画の無料配信なんだとか。

TEDはそのすばらしいプレゼンの判断基準が大変ためになるということで、

この本が要点をわかりやすくまとめている。

例によって外国人が書いた本の翻訳なのだが、

これまでに類を見ない分かりやすさなのだ。

これはいつも言っていることであるが、

大抵の翻訳本はいまいちしっくり来ないカタカナ表現で

小難しくなっており、退屈で読むのに苦労する傾向が多大にある。

しかし、まるで最初から日本人が書いた本であるかのような印象を受け、

すんなり頭に入ってくるので、とても読みやすい。

そして、やはりプレゼンで大事なのは誰もが主張する共通認識らしく、

キャッチフレーズをつくるであるとか、

3つの○○でポイントをまとめるとか、

子供でもわかるようなレベルの言葉で表現するであるとか、

体を使ってコミュニケーションをとる、などが述べられている。

特に気をつけたいのが、

えーとかあのーとかの間持たせの言葉を防ぐことだろう。

これには一気にしゃべって少し間をおくのがいいらしい。

きっと必須テクニックなのだと思う、これは。

それと意外だったのが、プレゼンのオープニングに

聴衆に対して動きを求めると、洗脳された感が漂って失敗するのだとか。

それはつまりリラックスするために背伸びしましょうとか、

肩をを上下させて首を回しましょうなどというのもNGということか!?

これは個人的にはアリだと思っているのだが。

とにかくすごく読みやすいし、

それぞれの章末に各要点がまとめられているので

サクッとプレゼン術を学ぶには最適の一冊である。
 

2014年1月6日月曜日

杉下右京の密室、という本を読んだ。




杉下右京って誰やねんっと思うかもしれない。


相棒を一度も見たことがない人にとっては。




ひょんなんことから割と新しいテレビシリーズの相棒を2,3シーズン見たこともあるし、

劇場版もDVDで抑えたぐらいのややハマりの部類に達している。

テレ朝が海外ドラマ張りにロングヒットさせている番組だ。

何といっても杉下右京こと水谷豊演じるキャラクターが際立っているからか。

頭脳明晰、冷静沈着、コーヒーではなく

紅茶を選ぶちょっと変わった!?ところだとか。

随分昔によく見ていたドラマで刑事貴族という番組もあったが

これにも主演していたし、好きな芸能人の一人である。

そんなわけで本書の内容にいくと、

大長編の1本ものかと思っていたら

「大富豪の挑戦状」と「壁」の2本立ての構成であった。

どちらもタイトル通り密室に絡んだ事件を扱う。

ただ本格推理小説好きには少し物足りないかもしれない。

ネタばれになってしまうとぶち壊しなのでごく簡単にしか触れないが、

大富豪のほうはある孤島の断崖に建てた邸宅の

海中展望室で発生した殺人事件、

壁のほうはある会社の屋上に建てたクライミングジムで

発生した殺人事件であった。

トリックも特に目新しいとか斬新だとか、

驚きのあまり震えるぐらいだとかのレベルではなく、

あぁそうかといういたって普通のリアクションをとってしまった。

だだし、これこそがリアルな状況の描写

というものかもしれないなどと思ったりもした。

おなじみの人差指を立てて、

1つだけよろしいでしょうかというフレーズや、

行きつけの飲み屋(これは若干無理やり感)もでてくるので

テレビシリーズになじみのある人ならば思わずクスッと笑ってしまう、

そんな記述もあるのも楽しめはする、のであった。

普段はビジネス本ばかり読んでいても、

たまには気分転換に小説も読みたいよという息抜きにぴったりの一冊である。

2014年1月4日土曜日

人はチームで磨かれる 職場を元気にする72の質問、という本を読んだ。




日本に足りないのはチーム力だっ!!

あっまたこれ自分のことかもしれない!?

という問いかけだ。



かつて取り組んでいたプロジェクトで

なんだかギスギスした感じでとってもやりにくかったということがあった。

あんまりにもストレスなので思わず配置転換を願い出たぐらいだから、

もうそれは相当なストレスであった。

そのような悩みを抱えるリーダーの人には読んで欲しい本ではないだろうか。

まず初対面の4人が高揚感に包まれるまで

というところで、「メンバー内で自己紹介しあうとともに、

握手とハイタッチをする」というのがある。

これは以前私自身が、人生を変えるプレゼンセミナーで実践し、

体験したことからもいえるのだが、

そのときは緊張をほぐすために伸びをしたり、

体を動かし参加者全員でできるだけ多くの人と

握手することをやったのだ。

終わってみると確かにガラリといい雰囲気になった。

他にも日本人は成長するにしたがって

コミュニケーションが下手になり、孤立化しやすくなるのだという。

おぉっ、これはまさに自分もその通りあてはまる節があるなぁと

妙に納得してみたりする部分があった。

自分を進化させるためには

一週間に5冊もの新書を読む課題が

クリアできるようではないとクリエイティブな仕事はできないのだとか。

興味・関心がある部分だけを読めば可能だとも述べているが、

さすがにこれはどうなのかと思うけれど。

あと触れておきたいのが、

会議に役立つ時間管理テクニックではないだろうか。

ストップウォッチを使って参加者たちの間に緊張感が生まれ、

短時間でアイデアの出やすい脳に

トレーニングできる効果が期待できるらしい。

それと大事な質問と思われるのが

「ビジョン」がありますか?というところだろう。

ビジョンとは目標であるとともに、

自分がこうなりたい、こうありたいと思い描くものだ。

そんなわけで、ビジョンをかなえるために

大切なものはいったい何かをじっくりと考えたい、

72の質問に真面目に答えると必ずやためになるだろうと思う一冊である。