2014年5月2日金曜日

「日本経済」はどこへ行くのか2 再生へのシナリオ、という本を読んだ。



前回の1 危機の二〇年に続いて

随分と時間がかかったけれど

やっと読み終えることができた一品、

さすがの第2巻である。

例によって驚きな点を挙げておくと、

最初のところでドラッカーさんに叱られるという部分がある。

ビジネスの世界では知らない人はいないあの有名な

思索家であり経営学者のことである。

まさか著者がドラッカーと知り合いだったとは...

1979年代末以来のかなり長い付き合いがあったのだという。

きっかけは「見えざる革命」の著作を読んで感銘を受け、

自宅を直接訪ねたことから始まったのだとか。

本を読んでから筆者に会ってみたいと思う人はそうそういないものだと思う。

しかし、それでも良書との出会いが羨ましくもあり、

かつ実際に会いにいった行動力はとても素晴らしいと感じた。

おそらく3類型の心理学に当てはめると赤タイプの人だろう。

またこの行動については、外国にいたからこそ実現できたのだろうか、

日本ではまず自宅を訪れることなどできないだろう。

きっと編集部とかに掛け合っても個人情報の観点からまず自宅は教えたりしまい。

ファンレター辺りからはじめるのが無難なところか。

その他におもしろいと思ったポイントを挙げておくと

もう140年近い歴史のある日経新聞の生い立ちだとか、

FTA(自由貿易協定)と絡めたTPPの話、

高齢者の定義の話やアベノミクスには欠かせない黒田日銀の話がある。

その中でも特に見ておきたいのが、

これからの日本を考える上では避けては通れない高齢者の問題だ。

経済が活性化しやすい人口ボーナスの時代が終わり、

現役世代が非常に苦しい人口オーナスの時代に移行していっているのだ。

こうなってくると、そもそももう65歳は高齢者としては扱えない。

何しろ人間は70歳ぐらいまでは、言語力や問題解決能力が

向上するというデータもあるくらいだ。

退職後のおよそ10万時間という自由時間を

どう使うかを考えていかなければならない。

ちょっとした風邪とかで無駄に病院に行ってしまうような

ことは断じて避けなければならないのだ。

しっかりと健康を確保して、終末医療や介護を要する年数を

できるだけ短くする努力が必要である。

今後必要となってくるのは、多様な働き方と

学び直しができる再挑戦できる社会である。

誰もがいつでも能力開発できるようになっていないと、

若者だけがシワ寄せをくらうという何とも割りの合わない結果になってしまう。

そんなダイバーシティを重要視する超高齢化社会、超長寿社会において、

バラマキではなく種まきをしていくことで

次なる新しい成長や活力を生み出していかなければならないと感じる一冊である。