2014年5月22日木曜日

消費税政 と官との「十年戦争」、という本を読んだ。




ついに始まった...の消費税の増税までの

長い道のりは、普通のサラリーマンには

到底想像できるようなものではない。


その裏側を克明に描く本書には大いに驚かされる。

小泉内閣から野田内閣の近いうち解散の結末まで、

時には政治家の話し言葉そのものまでもがとにかく詳細に記載されている。

あとがきにもあるように、筆者の綿密な取材と本当に多数の証言で

作り上げられたということが分かる。

ところで「近いうち」という言葉は、はっきり決められない日本人の

曖昧さを表現している言葉のような気がしている。

事実、本当にいつ解散なんだろうと、見ているこちらまでが

イライラさせられたものである。

「私の首相在任中は消費税を上げない。なぜなら歳出に削るところがたくさんある」と

発言した02年の小泉内閣。 しかし、郵政民営化の記憶しかない。

この当時から社会保障目的税化の議論はずっとあったのにもかかわらず、

プライマリーバランス均衡を声高に叫びながら、

選挙に勝つためだけのパフォーマンスを続けてきたのかと、

やはり残念な気持ちを抱かずにはいられない。

実は、これは長年に渡る失意の茶番劇なのではなかろうか。

その途中でおもしろかった部分は、与謝野氏に七年前にさかのぼって修正申告し、

追加納税するのは脱税だ。こんなに多額の脱税をした人はいない。

まさに平成の脱税王と言わしめた鳩山氏。

それは本当に多額の子ども手当である。

また、ずっと後の部分に「どじょう宰相」の名言があるので、ぜひ紹介しておきたい。

「苦しいから次の政権に任せよう、消費税増税はいつか決めれば

いいという議論が続いてきたが、もう猶予がない。

この困難な時期に首相を引き受けて、子や孫のため決断しなければ

いけないことから逃げるつもりはない。

政権与党は一番つらいテーマ、苦しいテーマから逃げないことだ」

そして、確かに逃げずに増税法案は可決した。

また、一度は投げ出したにもかかわらず、それでもなれるものかと

ものすごく意外に思ったのが、第二次安部内閣が発足したということだ。

結果、世の中はいい流れに向かったということもまた。

あと、これは余談ではあるが、まれに難しい漢字で読めない人名というのがあった。

小説ではないが、カナが振ってあっても...

ひょっとすると日頃難しい事を考えている人は、難しい名前だったりするのかもしれない。

それにしてもやはりどう考えても納得できないのが、ジョジョに保険料が上がっているし、

残業代も標準月額報酬に含まれるため取られすぎではないだろうかという

年金制度の問題がある。

その上、現行よりも給付水準が下がるとは一体どういうことか、と。

最低保障年金の月額7万円という数字は何をもって算出されたのか、と。

負担するばかりで、実態はマボロシ保障のためのものか、と。

そして、最後に読み終えて思ったのが、タイトルにあった政と官の

どのあたりが「官」の部分だったのかが全く気づけないほど、

ひたすら政の話が続いていた気がしてならない大長編の記録の一冊である。 



消費税 政と官との「十年戦争」