2014年4月15日火曜日
「空気」の構造 日本人はなぜ決められないのか、という本を読んだ。
例えば何かの集まりで、みんな遠慮がちで
喋らないからなかなか結論を出せないとか、
誰かが口火を切るのを待っている、
そんな雰囲気を酷評してるのか!?と
若干の妙な期待とともに借りてみた本である。
読んでみていつも思うことなのだが、
こういった本の内容はとても学術的な話が長々と続くので、
結構ムツカシイですからねぇという印象を抱く。
その通りではあるけれど、
まず日本人の特徴としていいえて妙な文章があったので、ぜひとも紹介したい。
この社会においてタコツボ的な自立性が強く、
まわりの空気を読んで行動するため、
責任の所在があいまいで中枢機能が弱い。
部下が上司の足を引っ張る風潮が強く、長期的な戦略が立てられない。
なるほど最近の政治を見ていると確かにその通りかもしれない。
ところでこのタコツボという言葉、本書では随所に出てくる。
これはつまりヨコのつながりが乏しいタテ割り社会の構造を
分かりやすく表現しているらしい。
ちなみにそのように命名したのは、政治学の丸山眞男氏らしい。
では次に、この本で特に面白い・興味深いと思ったところを少し挙げていく。
まず、序章の「空気」が原発を止めたがある。
ここでは東日本大震災後から、
原発停止に至るまでの民主党政権および当時の菅直人首相の暴走っぷりである。
国民のヒーローを演じるも内閣支持率の低下を招く滑稽さ。
止めなくても良い施設を停止させたことによる損害の大きさもだ。
これもまた経済成長の停滞に一役買っていることは間違いない。
あとは読んでいて過去の過ちの痛々しさを痛切に感じずにはいられない、
日本軍の「失敗の本質」のところだろう。
目的の欠如した戦争で多くの人命が失われたのだとか。
何を失ったら降伏するのかという判断も誤り、
莫大な犠牲を出したとある。
敵が戦意を失って降伏するだろうというあいまいな願望で、
いくつかの戦場に分戦力が分散して惨敗を招いたこと多数など、
同じ失敗を繰り返したとは愚かしいことこの上ない。
過去に学び、これからも戦争など起こらない世界にしなくてはと強く思う。
さらに学ぶべきは注力するところを間違うと、
大失敗となるのはビジネスも同じということか。
あと、途中にある日本人の肖像のところも見逃してはならない。
福沢諭吉に始まり、最後には、
天皇の公務とは何だろうか、皇室はなぜ必要なのかなどと
ふとした疑問が頭をよぎり、モヤモヤ感が生まれてくる一冊である。