イノベーションとは、先進国から起こるものではないのか、
そんな思いがありながらも、一体その根拠は何だろうかと
思いつつも借りてみた本である。
表紙を開くと、いきなりカルロス・ゴーン氏の刺激的かつ
心躍る一冊という推薦文があって、それはもう期待大である。
ビジネスにおいてアイデアと創造力は何よりも重要である。
今や何に使うんだというものや、一見こんなものがと思ってしまうモノを
少しの工夫を付け加えるだけで立派なビジネスとして成り立つ例は多数ある。
それを展開するべく本書でいう新興国とは具体的にはフィリピン、インド、ブラジル、
中国、ケニアなどが挙げられる。
そして再三出てくるジュガードという言葉、パッと読んだだけだと
ジュガードイノベーション、ジュガードイノベーター、一体何の事かが分からない。
新しい取り組みを始めた第一人者の名前か何かだろうか?
答えはヒンディー語で「革新的な問題解決の方法」とか
「独創性と機転から生まれる即席の解決法」という意味があるようだ。
リーダーの即断即決とでも捉えればいいのだろうか。
このジュガードをビジネスに取り入れるときに先進国が学ぶべき6つの原則と
いうのが紹介されているので、ここでも挙げておきたい。
1.逆境を利用する
2.少ないものでより多くを実現する
3.柔軟に考え、迅速に行動する
4.シンプルにする
5.末端層を取り込む
6.自分の直感に従う
の6つである。
これは、特にあまりビジネスマインドが身についていない者がこれを考えると
4番でいきなり難しく考えすぎて高いハードルにチャレンジしたり、
6番あたりで間違った選択をしてしまいそうである。
事実そうかもしれない、直感に従ってみるとだいたい間違っているのが大きい気がする。
だが、ここではそのひとつひとつを実例とともに優れた点を説明しているので、
確かにヒントは掴みとることができそうである。
安く失敗し、早く失敗し、何度も失敗する。
実験実験、また実験。
うまくいきそうもないことが分かったらすぐに別の方法を試してみる。
さらに進んで色々な方法を試してみる。
要するにこだわりすぎて時間がかかってしまった挙句、
成果が出ないとか、期待値よりもずっと低いということは避けたいという思いだ。
そういえば最近思い当たる節があったような気がするので、
これは自分には戒めとしてとどめておきたい点である。
そういうわけで、やはり思うのが、日本国内という狭い枠だけでなく
世界を相手にビジネスモデルを展開し、成功へと繋げていく必要を強く感じさせる一冊である。