2014年7月9日水曜日

マーケットデザイン 最先端の実用的な経済学、という本を読んだ。



日本人は「ものづくり」という言葉を好みます、

それは、おっしゃる通りだと思います。

そうやって日本の製造業は盛り上がって、

経済成長してきたからである。

そもそもマーケットデザインとは何かという疑問があるが、

これは「経済学的ものづくり」に関する立派な学問なんだという。

まず優れた製品を作ったり改良する、理工学的ものづくりという概念があって、

その優れたものを有効活用してくれる人の手にどうやって渡すか、

その製品としての価値を生み出し社会を豊かにするか、

ということを考えるのが経済学的ものづくりの概念である。

その具体例として取り上げられているのが腎移植マッチングと学校選択マッチングである。

腎移植マッチングでは組み合わせのアルゴリズムについて、かなり詳細に解説している。

これは複数の腎臓病の患者とドナー達の中から血液型の適合性の観点で

適合ペアを作り出すというものである。

驚いたことにこれは当たり前に行われているのかと思っていたのだが、

ドナーを交換するという発想は画期的発明レベルなんだという。

そして、91年に世界で初めて行われたのだそうだ。

その後、99年には移植した腎臓の生着率が高いことを

とりまとめた論文が学術誌に掲載されたようである。

当初はマッチする組み合わせることを考えなかったとは、実に謎めいている。

次に、学生寮の今住んでいる部屋より、望ましい部屋を選ぶアルゴリズムについて、

こちらも非常に長々と解説されている。

ちなみにこのアルゴリズムはゲールによるTTCアルゴリズムという。

これによって求められる解は、強コア配分といって、バランスよくみんなが

満足できる結果になるとのことだ。

さらに続いて大学入学と男女のマッチングについて別のアルゴリズムを

これまた詳細に解説している。

ここまでアルゴリズムの話が本当に長く続くので、

難易度が高く飽きてきてしまうかもしれない。

そんな時はオークション理論の所までスキップすることをおススメである。

あとがきでおもしろいのが、犬と暮らすのにあんなにお金がかかるとは

知りませんでした、という一文である。

実際にやってみてわかることだが、犬、猫どちらであっても、その他ペットを飼うということは、

人間の感情を育むとともに、非常にお金のかかるものなのだ。

しかし、マッチング理論とオークション理論ともに総じて言えることは、

学問とはあれこれ様々な仕組みを考え出すものなのだと感心してしまう一冊である。






2014年7月3日木曜日

フリーで働く前に!読む本、という本を読んだ。




今今独立起業ということを思い描いているわけではないが、

会社で仕事をしていくうえでも「個」の力はとても重要だと

認識しているし、そういった力をつけるためのヒントが

得られるのではなかろうかと思って借りてみた本である。


その内容は会社を辞めてフリーになればこんなに稼げます。

そのためのノウハウをお伝えします、さぁ今すぐ始めましょう云々

みたいな有りがちな話ではない。

その点は少し意外に感じたとともに、準備ができるまで己の武器を鍛え続けなければ、

まちがいなく失敗する。

できれば今のままを維持した方がよい、独立起業はそんな甘いものではない、

この世界を舐めたらアカンぜよとまで言い切っているので、

キチンとした構成になっているのではないだろうか。

メリット、デメリットを明らかにしないと信用は得られないというのをどこかで見たことがある。

そしてまずは、とりあえずは有名なソリストたれ!に始まる。

やはり近頃の流行りは、個人で稼ぐ力をつけるということか。

本当に力があるならば、何をするか?どうやって生きるか?ということは

自分で自由に決めることができる。

この自分主体の生き方を可能にする力を「自在力」と定義している。

また、自由の定義も格好がいい。

「自由とは、好き勝手に生きることではなく、いつでも決断できる準備が整った状態のこと」とある。

そして後の章では肝心の自在力についてをより具体的事例とともに解説している。

特におもしろいのがWebサイトのアクセス数を減らせ、無駄なSEO対策は不要であるという、

これも今流行りとは逆行する提案で成果が出たということだ。

目標は持つな!とは一見何だそれ、と異論を唱えたくもなるかもしれない。

しかし、実は収入を増やす!などという目標っぽい欲は、ただの状態であると述べている。

なるほど確かにそう、収入を増やした後にどうするか?

どういう自分でありたいかというところまで踏み込んで考えなければならないのだとわかる。

そうやって目の前にあることを一つ一つ確実にこなし、

社外でも通用する「技」を身につけなければ、

この先到底結果を出すことはできない。

会社という肩書がなくても、自分の強みをしっかりとアピールしないと

やりがいのある重要な仕事を得るというチャンスすら掴むことは難しい。

あとどうしても必要になってくるのが人脈である。

イザという時の頼みの綱は、やはり手を差し伸べてくれる人だとある。

人との繋がりがなければ、意味がない。

まとめとしては、少なくとも自分名刺は作った方が良さそうな気がする一冊である。